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MINOX [その他]

引っ越しして1年以上も経つのに、まだ開けていない段ボール箱をワードローブの奥で見つけてしまい、気分転換に仕事の手を休めて中の荷物を整理することにした。段ボール箱と言っても、枕を一個押し込むことができるくらいの小さな箱だ。その中に小さなタオルに包まれて眠っていたのはフィルムカメラとラジオだった。その前にやはりワードローブの隅っこで発見したフィールドスコープを、たぶん今後使うことはないので下取りしてもらおうと、買い取ってくれる中古カメラ店を探していたところだったので、このカメラもついでに買い取ってもらおうと思っていた。たぶんフィールドスコープと合わせて二束三文で3000円くらいだろうな。

とりあえず、夕方の散歩のついでに新宿西口まで足を伸ばし、カメラのキタムラを訪ねた。キタムラを選んだ理由はカメラナビ http://navi.kitamura.jp/をやっているから。ただそれだけ。フィールドスコープと小型カメラ2台、ストロボ一機をカウンターに取り出して、買い取り金額を見積もってもらう。20分くらい経って名前を呼ばれ、カウンターの伝票を見ると金額が約1800円。これはいくら何でも安過ぎるとがっかりして、もう一度金額を確かめると、最初の金額は間違いで実際は18000円だった。

「これは高過ぎませんか」と殊勝にも聞いてしまう自分。
「妥当だと思いますけどね」と初老の店員。

この見積りのうち15000円は、小型カメラのCONTAX Tの買い取り金額だった。ぼくのCONTAX Tはほとんど傷がなくて、露出計もちゃんと作動して、とにかく完動品であることが素晴らしいと店員は言う。古い機種なので欠陥品が多いらしい。こんなに高く買ってもらえるなら売るのは止めようかと一瞬考えたけど、このCONTAXは持っていても使うことはないと思うので、死蔵するよりは愛用してくれる人の手に渡ったほうが、カメラでも幸せだろうとそのまま置いてきた。実際には他の中古カメラ店と比較したわけじゃないので、この金額が妥当かどうかは分からない。もっと高く買ってくれる店があるかも知れない。でも不要品の売り買いで欲張るのもみっともないし、とにかく素直に見積り通りに伝票を切って帰宅した。

CONTAX Tはずっと欲しかったカメラだった。ポルシェデザインの傑作だ。ディテールがホントにカッコいい。後継機種のT2が発売になってから、ぼくの周りではT2を買う人が圧倒的に多かったけど、ぼくはT2にはまったく魅力を感じなかった。性能より見た目が重要だったわけだ。ある時、長年の願いがかない新品同様のCONTAX Tを手にして、最初の頃は嬉しくてよく持ち歩いたけど、そのうちあまり携帯しなくなって、ついにはカメラというより置物になってしまった。そんなわけでこのカメラで写真を撮ることはほとんどなかった。撮らなくなった理由はいろいろあるけどここでは書かない。逆にあまり持ち歩かなかったから、美品のまま年を重ねたわけだ。で、結局ぼくの手元にはまた1台のカメラだけが残った。

その機種はMINOX 35GT-Eで、ぼくはこのカメラと一緒にいろんな国に行った。本当に欲しかったのは35GT-Eじゃなくその前の35GT。真っ黒なボディに小さなオレンジ色のシャッターボタンがついているだけのやつ。アンディ・ウォーホール愛用機はこのさらに前のモデルのGLだったんだろうか。GT-Eはグリップのためのボディに凹凸が付けられていたり、シャッターが赤で、CHECKとかTIMERとか文字がたくさん書き込まれていて、しかも被写体深度スケールが真っ赤なリングになり、MINOXのシンプルなフォルムが台無しという感じだった。ただ35GTより安かったし、レンズはフィルター付きになっていて、お買い得感は高かったのだ。とにかくMINOXは最高だ。仕組みが超シンプル、電子制御されていないのでいくらでも融通が利く。目測式の絞り優先であとはシャッター速度の関係だけ。手ぶれ警告が出るのは1/30秒という大らかさで、どうしてもシャッタースピードを早くしたい場合は、フィルムの感度設定を勝手に上げればいい。そんなことが許されるカメラなんて今時ないよな。真っ白なMINOXも持っていたけど、それはガールフレンドにプレゼントした。

  


このMINOXに比べるとCONTAXはかなり堅物だった。ぼくにはちょっと厳格過ぎたかも知れない。気持ちが通じ合わないというか……。実際は機械には心はないわけだし、別に気持ちを通じ合わせる必要なんてないんだけど、人って心がないモノに心を見出すから不思議だ。特にクルマとか。

ぼくがMINOXを最初に知ったのは20年前に読んだ片岡義男さんの著書「彼らと愉快に過ごす」だ。雑誌「BE-PAL」の連載をまとめたエッセイ集だった。片岡氏は1940年生まれなので、今年で67歳ということになる。45〜47歳頃に書いたエッセイだったんだ。自分の好きなモノを紹介するだけで本になるなんて、有名作家はスゴイなあと思っていた。そういえばエルメスのチューインガムケースもこの本で初めて見たな。今ではWeblogで同じようなことを多くの人が書いている。ぼくもその一人。ぼくに限らず持ち物自慢になる例が多いのはご愛嬌だ。ぼくは片岡義男の小説は一つも読んだことがないし、映画も観ていない。特に気になる作家ではなかったのだけど、なぜかこの本だけはキレイな装幀に惹かれて買ってしまった。本を開いてみると載っている品々がどれも気になるものばかりで、きっとこの本からいろんな影響を受けていると思う。MINOXだけは手放せないのはその最たるモノだろう。

最近はデジカメばかりだけど、やっぱり写真はプリントにするのがいい。プリントされて初めて写真と呼べるのだと思う。MINOXは一時ライカの傘下に入ったが、今はまた独立してデジタルカメラやスパイカメラを製造している。残念ながら沈胴式の35mmカメラはもう作っていない。

彼らと愉快に過ごす―僕の好きな道具について

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  • 作者: 片岡 義男
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1987/12
  • メディア: 単行本



小型カメラ写真術

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  • 作者: 木村 伊兵衛
  • 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 単行本


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