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理想の映画 [美術/音楽/映画]

理想の映画ってどんな映画ですか。
ぼくは自分の中に「理想の映画」がある。ちゃんと言葉では説明できないけど、それはかなり厳しい理想で、映像は映像として、音楽は音楽として、俳優は俳優として、それぞれの仕事をムダなくこなし、余計な説明や、意味の内セリフや絵を一切排した必要最小限の要素でできている映画だ。天才肌の映画もいいけど、理性できめ細かく抑制された映画が好きなんだな。もちろんそれだけじゃないけど。じゃあそれはどんな映画なのかと言われると、河瀬直美監督の「殯の森」は、ぼくが抱く理想の何倍も素晴らしい映画だった。自分は何の予備知識もなく作品を観たのに、途中から、この映画を観る前から、登場人物の過去をすべて知っていたんじゃないかという錯覚を感じていた。画面上の物語と並行するさまざまな物語も見えてきて、実は映画の「殯の森」はその膨大な物語やイメージの氷山の一角に過ぎないのだと思った。そんないろんな物語が最後の最後に森の中で束ねられてく。もちろん物語は用意されているものではなく、自分の中に生まれるものだから、自分自身の思い出や人生観や忘れられない記憶や心の傷も、否応無しにこの森と森の中の二人に巻き込まれていく。この作品がカンヌでグランプリを受賞したということは、日本人以外も「殯の森」に巻き込まれた人たちがいたということだろうか。映画としての「殯の森」の素晴らしさは世界が認めたわけで、受賞を通してこの良さを讃える人たちと共感できたことも嬉しい。もっと楽なつくり方もあったと思う。でも河瀬監督はそれを許さなかったんだ。

この映画を観たのはずいぶん前なんだけど、時とともに印象が薄くなるのではなく、どんどん濃くなっている感じ。こんな作品に出会えて幸せでした。

kei_MG_9151.jpg殯の森


昨日「プロジェクトBB」を観た。もちろん吹き替え版。これは吹き替え版で観るべき作品。
昔は外国映画の吹き替えでは、一人の俳優に一人の声優さんが声をあてていた。野沢那智さん以外のアラン・ドロンは観たことがなかったし、ショーン・コネリーの声は必ず若山弦蔵さんだった。でも今はメチャクチャだ。シルベスター・スタローンやブラッド・ピットは何人が吹き替えているか。山寺宏一さんは他の人が声をあてているブラッド・ピットの映画をどんな気持で観ているのだろう。広川太一郎さんは「ダンディ2」のDVDに収められた特典映像のインタビューの中で、そんな現状に厳しい意見を述べていた。声優としての責任がもてない状況だと広川さんは嘆く。

その点、ジャッキー・チェン、マイケル・ホイ、ユン・ピョウが出演している「プロジェクトBB」は吹き替え版でも安心して観ることができる。ジャッキーの声は石丸博也。マイケル・ホイは広川太一郎さんでユン・ピョウは古谷徹。この3人は他の声優が吹き替えている映画を見たことがない。広川さんもこの映画は吹き替えがいがあったと思う。もちろん広川節が炸裂だ。それを楽しめない人にはつらい映画だと思うけど。

広川さんには理想のアテレコがあったのだと思う。高い理想を持って仕事をしている人は素敵だ。それがどう世間で評価されようと、理想だけは高いところに置いておきたいものだ。





「キャノンボール」の吹き替え版で広川さんは、マイケル・ホイとロジャー・ムーアの二人にアテレコしていた。信じられない。今日は市川崑監督の「太平洋ひとりぼっち」を観る予定。「太陽はひとりぼっち」じゃないよ。





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