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トム・ディクソンとKid Creole and the Coconuts [デザイン/建築]

山手通りの神宮前の交差点から千駄ヶ谷小学校に向かう途中に「フェイスビル」という建物がある。地下には「バスタパスタ」というイタリア料理店があったけど、今でもあるのだろうか。この「フェイスビル」の最上階にはバーと「フェイスギャラリー」があって、ここで80年代の半ば頃にトム・ディクソンの日本で初めての個展が開かれたことがある。彼の作品はシティサルベージと呼ばれていて、街の中にある鉄素材のガラクタをサルベージして、それを自分のアトリエで溶接し自己流でワンオフの家具や彫刻をつくっていた。マンホールの蓋やフライパンなどが椅子の座面に使われたりしていた。彼はロン・アラッドのアトリエ「ワンオフ」にも一時期いたみたいだが、溶接機械を借りていただけかもしれない。

当時彼はロンドンのアンダーグラウンドのヒーローの一人だった。不法ディスコを経営したり、ミュージシャンとしてもそれなりに活躍していた。個展の展示作品には水槽もあったけど、この水槽に入れた金魚はすぐに死んでしまうと担当者が嘆いていた。この頃のトム・ディクソンには間違いなく「毒」があったんだな。ぼくは早朝の六本木の街をうろうろしているトムを見たことがある。何かをサルベージしていたのだろうか。個展を企画したのはシー・ユー・チェンさんだったはずだ。当時、チェンさんの事務所CIAにはトム・ディクソンのワンオフの家具がたくさんあった。その頃、トム・ディクソンはナイジェル・コーツの現場の造作の仕事でよく日本に来ていたのだ。西麻布の「ザ・ウォール」にも彼の造作があると思う。三倶が建てたビルだ。なつかしい。

キッド・クレオール&ザ・ココナツのオーガスト・ダーネルが1980年だったか81年にプロデュースして、LONDON RECORDからデビューしたラテンファンクバンドFunkapolitanは、アルバムを1枚出しただけで活動を止めてしまったはずだ。いや、12インチのシングルを何枚かリリースしただけかもしれない。いずれもCD化されていないし、もちろんiTuneにもない。第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンの時代にはアルバム数枚で解散と再構築を繰り返していたグループも多かった。Funkapolitanのメンバーもきっと別のバンドやユニットで演奏して、また離れて、別のグループに参加したりしていたんだと思う。こうして消える者は消えていくわけだ。Funkapolitanをパンクバンドと説明している記事もあるけど、あれはパンクではない。一度聴くと分かると思う。ものすごく洗練されている。初めて聴いた時はリズムボックスを使っているのだと思っていた。それくらい正確でよどみがない演奏なのだ。いちばん売れた曲は「Run Run Run」か「As the time goes by」かな。いずれもシングルカットされている。中古レコード店ではたまに売られている。

このFunkapolitanのベーシストがトム・ディクソンだった。キッド・クレオール&ザ・ココナツとトムに接点があったなんてホントに不思議だな。トム・ディクソンはその後、カッペリーニの家具をデザインして、アンダーグラウンドからいきなり桧舞台に引き上げられた。トムをカッペリーニに紹介したのはイデーの黒崎さんだったのではないかと思う。違うかな。マーク・ニューソンはそうだよな。とにかくカッペリーニ以後のトムはホントにトントン拍子にのし上がって、ハビタのクリエイティブディレクターを務めたり、アルテックのディレクターに就任したり、今では立派なデザインセレブリティの一人だ。かつての刺すようなパンキッシュな眼差しもシャンパーニュの泡で柔らかくなったみたいだ。YOUTUBEでいろいろ探したら、トム・ディクソンが演奏している映像がアップされているのを見つけた。彼はミュージシャン時代の経歴は触れたがらない聞いたことがある。なぜ? こんなに楽しそうにベースを弾いているのに。曲は「As the time goes by」。





これはぼくの個人的な印象だけど、トム・ディクソンにはU2のイメージが重なる。U2も70年代末の大不況のアイルランドで、楽器を演奏したことがないような素人の高校生が仕事にあぶれて結成したバンドだったと思うんだけど、間違っているかな。とにかく不況で仕事がなくて、何かつくったり売ったりしないと暮らしも儘ならない状況だったのだと思う。そんな野蛮な環境をトム・ディクソンもU2も生き抜いて、今ではセレブリティの仲間入りという成功ストーリーだ。トム・ディクソンはファンクを捨てたな。だから最近は興味はない。

キッド・クレオール&ザ・ココナツはワールドミュージックが流行った時はキワモノ扱いされ、ホンモノのラテンからはイカモノ扱いされ、正統派の民族音楽業界的にはバカにされていたと記憶している。でもぼくは大好きだった。今でも大好きでいつもiPodで聴いている。カールスモーキー石井はキッド・クレオール&ザ・ココナツのファンだったはず。米米CLUBもかなり影響を受けていると思う。ただ、キッド・クレオール&ザ・ココナツがコメコメの曲をカバーした日本限定アルバム「KC2 PLAYS K2C」は、聴いててなんだかスゴく悲しかった。あれはやめてほしかったな。最初の頃のアルバムはストーリー仕立てになっていて、話は次のアルバムにつながっているから、一枚目のアルバム「Off the Coast of Me」から順番に聴いてほしい。

ぼくは80年代のイギリスの音楽がとにかく大好きで、音楽に関しては20世紀を越えられないでいる。Funkapolitanも好きだった。シングルを2枚持っていたけど、DJの友人に貸したらそのまま戻ってこなかった。まあしょうがないな。あ、ちなみにキッド・クレオール&ザ・ココナツはアメリカです。



ボーカル&ギターがオーガスト・ダーネル。


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Hot Cha Cha Cha

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